- ロットは「何となく」ではなく、許容損失額 ÷(損切り幅 × 1ロットあたりの値動きの価値)で決められる
- 同じ「1回2%まで」でも、損切り幅が広いほどロットは小さくなる。リスクを決めるのはレバレッジではなくロットと損切り幅
- 口座が小さいと、最小ロットでも決めた割合を超えてしまうことがある。その場合は損切り幅を見直すか、入らない
「今回は0.1ロットくらいでいいか」。ロットをその場の気分で決めていると、勝てそうなときほど大きくなり、負けたときの傷も大きくなります。前回のドローダウンと回復の計算で見たように、大きく減った資金を取り戻すのは簡単ではありません。
そこで、ロットを「1回の損失を口座の何%までにするか」から逆算して決める方法を、計算例で説明します。
基本の式
考え方は3つの数字だけです。
- 許容損失額:口座残高 × 1回に許す損失の割合(例:10万円 × 2% = 2,000円)
- 損切り幅:エントリーから損切りまでの距離(pips や ドル)
- 1ロットあたりの値動きの価値:1pip(または1ドル)動いたときの損益
これを使って、ロット = 許容損失額 ÷(損切り幅 × 1ロットあたりの値動きの価値) で求めます。
計算例①:ドル円(口座10万円)
多くの業者では、ドル円の1ロットは10万通貨です。1pip(0.01円)動くと、1ロットで1,000円の損益になります。
| 1回の損失の上限 | 損切り10pips | 損切り20pips | 損切り50pips |
|---|---|---|---|
| 口座の1%(1,000円) | 0.10ロット | 0.05ロット | 0.02ロット |
| 口座の2%(2,000円) | 0.20ロット | 0.10ロット | 0.04ロット |
例えば「2%まで・損切り20pips」なら、2,000円 ÷(20pips × 1,000円)= 0.1ロットです。損切りを50pipsに広げるなら、同じ2%に収めるためにロットを0.04まで下げる必要があります。
計算例②:ゴールド(XAUUSD、口座10万円)
多くの業者では、ゴールドの1ロットは100オンスです。価格が1ドル動くと、1ロットで100ドルの損益になります。ここではドル円を150円として、1ロットで1ドル動くと15,000円と計算します。
| 1回の損失の上限 | 損切り3ドル | 損切り5ドル | 損切り10ドル |
|---|---|---|---|
| 口座の1%(1,000円) | 0.02ロット | 0.01ロット | 0.01ロット未満(発注できない) |
| 口座の2%(2,000円) | 0.04ロット | 0.02ロット | 0.01ロット |
※計算結果は、発注できる単位(0.01ロット刻み)に切り捨てています。切り捨てるので、実際の損失は上限より少し小さくなります。
注目してほしいのは、「1%まで・損切り10ドル」の欄です。必要なロットは0.0067ロットで、多くの業者の最小単位である0.01ロットを下回ります。0.01ロットで入ると、損切り時の損失は1,500円、口座の1.5%になってしまいます。
値動きの大きい銘柄を小さな口座で取引すると、最小ロットでも決めた割合を守れないことがあります。そのときの選択肢は、損切り幅を狭くできる場面だけを選ぶか、そのトレードを見送るかです。「最小ロットだから大丈夫」とは限りません。
早見表:口座資金とリスク割合別の取引数量
ドル円で損切りを30pipsとしたときの目安です。1万通貨(0.1ロット)で1pip動くと100円の損益として計算しています。
| 口座資金 | 1回の損失 | 許容損失額 | 取引数量の目安 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 1% | 1,000円 | 約3,300通貨 |
| 10万円 | 2% | 2,000円 | 約6,700通貨 |
| 30万円 | 1% | 3,000円 | 1万通貨 |
| 30万円 | 2% | 6,000円 | 2万通貨 |
| 100万円 | 1% | 10,000円 | 約3.3万通貨 |
| 100万円 | 2% | 20,000円 | 約6.7万通貨 |
同じ「2%」でも、損切り幅が変われば数量も変わります。100万円の口座で許容損失を2万円に固定すると、損切り10pipsなら20万通貨、20pipsなら10万通貨、50pipsなら4万通貨です。損切りを広げたのにロットを変えなければ、実質的なリスクはその分だけ大きくなります。
※通貨ペアや業者の取引単位によって1pipの価値は異なります。発注前に、取引ツールの表示で必ず確認してください。
よくある勘違い:レバレッジが高いと危ない?
リスクの大きさを決めるのは、レバレッジの倍率ではなく、ロットと損切り幅です。同じ0.1ロット・同じ損切り幅なら、レバレッジが25倍でも500倍でも、損切りしたときの損失額は同じです。
レバレッジが変えるのは、そのロットを持つために必要な証拠金の額です。高レバレッジが危険と言われるのは、少ない証拠金で大きなロットを持ててしまうからで、ロットを上の式で決めていれば、損失の上限は変わりません。
実際に使うときのポイント
- 先に損切りの位置を決め、ロットはその後で決める「このロットで入りたいから損切りはここ」と逆にすると、損切りが相場の都合ではなくお金の都合で決まってしまいます。
- 割合は口座残高に対して毎回計算し直す残高が減ったらロットも小さくなり、増えたら大きくなります。連敗中に自動的にブレーキがかかる仕組みです。
- 契約サイズは業者の仕様で確認する1ロットの通貨量やオンス数は業者や口座の種類で異なることがあります。計算の前に、取引する業者の仕様を確認してください。
- 自動売買でも同じ考え方を当てはめるEAのロット設定も、最大ドローダウンの記録から「最悪このくらい減る」を逆算して決めると、想定外の減り方を避けやすくなります。
ロットを決めるときの「最悪このくらい減る」の目安として、当サイト運営者が開発したEAのフォワード成績を、最大ドローダウンやいちばん悪かった週も含めて公開しています。
運用実績のページを見る → PR・自社開発。過去の成績は将来の利益を保証しません。まとめ
ロットは、勝てそうかどうかではなく、負けたときにいくら失ってよいかで決めるものです。許容損失額、損切り幅、1ロットあたりの値動きの価値。この3つがわかれば、毎回同じ基準でロットを決められます。
そして、最小ロットでも基準を守れない場面では、入らないことも立派な判断です。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。