- 月10回ほどしか取引しない開発中の自作ロジックに、回数を稼ぐ3つのロジックを順に足し、直近1年(2025年10月〜2026年9月)のウォークフォワードで比べた
- 月の取引回数は10.6回→40.2回、損益は約10.3万円→約35.0万円に増えた。一方でPFは1.47→1.35に下がり、最大ドローダウンは約3.0万円→約8.3万円に広がった
- 目標の月100回には届かず、ほかの通貨に広げても回数はほとんど増えなかった。回数を足すと、利益と一緒にドローダウンも足されることがはっきりした
EAを作っていると、「成績は悪くないのに、取引回数が少なすぎる」という壁にぶつかります。回数が少ないと、検証の結果が偶然なのかどうか判断しにくく、運用しても成果が出るまで時間がかかります。
そこで考えるのが、「別のロジックを足して回数を増やす」という方法です。では、実際に足していくと何が起きるのでしょうか。私が開発中の自作ロジックで試した結果を、うまくいかなかった部分も含めてそのまま書きます。
検証のやり方
出発点は、ゴールド(XAUUSD)とドル円で動く、エリオット波動を1時間足で判定するロジックです。PFは悪くないのですが、取引は月に10回ほどしかありません。目標は「全体で月100回」に置きました。
ここに、次の3つのロジックを順に足しました。
| 足したロジック | 中身 |
|---|---|
| ① 波の中の押し目追加 | エリオット波動の波が続いている間に、5分足の押し目・戻りで追加で入る |
| ② 4波の逆張り | 3波が終わったところで、4波(修正の波)を逆向きに取る |
| ③ トレンドラインのドテン | 1時間足のトレンドラインを5分足の終値で抜けたら、反対向きに入り直す |
条件はすべて、結果を見る前に計画書で決めて固定しました。ロットは0.01で固定、費用は前回の記事の「厳しめ」(スリッページとスプレッドの上乗せで往復1.3pips)を差し引いています。
設定の選び方は、ウォークフォワードと同じ考え方です。過去12か月で設定を選び、次の3か月をその設定のまま運用したとして成績を出します。これを8回くり返し、直近の4回(2025年10月〜2026年9月)をつなげた1年で判定しました。
それぞれ単独の成績
まず、ロジックごとに単独で動かした直近1年の成績です。
| ロジック | PF | 月の回数 | 損益 | 最大DD |
|---|---|---|---|---|
| 出発点(エリオット波動) | 1.47 | 10.6回 | +102,783円 | 30,310円 |
| ① 波の中の押し目追加 | 1.38 | 10.0回 | +72,137円 | 35,785円 |
| ② 4波の逆張り | 1.43 | 4.6回 | +48,257円 | 29,269円 |
| ③ トレンドラインのドテン | 1.22 | 16.1回 | +124,357円 | 69,168円 |
※ゴールドとドル円の合計。最大DDは損益の累計が高値から最も下がった額です。
どれも単独でPF1.2以上はありましたが、回数はいちばん多いトレンドラインのドテンでも月16回ほどでした。1つのロジックで月100回に届くものは、ありませんでした。
順に足していくと、どう変わったか
次に、出発点のロジックに①〜③を順に足していきました。
| 組み合わせ | PF | 月の回数 | 損益 | 最大DD |
|---|---|---|---|---|
| 出発点のみ | 1.47 | 10.6回 | +102,783円 | 30,310円 |
| +① 押し目追加 | 1.43 | 20.6回 | +174,921円 | 48,097円 |
| +②③(4つ合算) | 1.32 | 41.3回 | +347,535円 | 91,059円 |
| 4つ合算・同時保有に上限 | 1.35 | 40.2回 | +350,044円 | 83,098円 |
※最後の行は、③をほかの為替15ペアにも広げたうえで、「同じ銘柄は同時に2つまで、同じ通貨を含むものは4つまで」の上限を付けたものです。
回数は約4倍、損益は約3.4倍になりました。ここだけ見ると成功に見えます。ただ、PFは1.47から1.32〜1.35に下がり、最大DDは約3.0万円から約8〜9万円に広がりました。
10万円から始めたとして計算すると、残高の高値からの下落率は、出発点のみで最大18.9%、4つ合算で37.8%、上限を付けた場合で33.6%でした。
ほかの通貨に広げても、回数は増えなかった
回数をもっと増やすために、トレンドラインのドテンを為替のほかの15ペアにも広げました。ところが直近1年で見ると、24通りの設定のうちPF1.0以上だったのは、14ペアで0通り、残る1ペアでも2通りだけでした。ゴールドでは24通り中22通りがPF1.0以上だったのと対照的です。
過去12か月で選べたペアが、次の3か月で使われることはありましたが、合計の回数は41.3回から40.2回とむしろ少し減りました。上限で見送った取引があったためです。上限を付けたことで、最大DDは約9.1万円から約8.3万円に少し縮みました。
なお、相関の高い通貨ペアのズレを取るロジックも試しましたが、どの回でも選定の条件を満たさず、1度も採用されませんでした。
利益とDDの比は、悪くなっていなかった
見方を変えて、損益を最大DDで割ると、出発点のみで約3.4、押し目追加を足して約3.6、4つ合算で約3.8、上限つきで約4.2でした。DDが増えた分、利益もそれ以上に増えていたことになります。
ただし、実際に運用するときに効いてくるのは「DDの額」です。最大DDを資金の20%に収めるのに必要な資金を計算すると、出発点のみで約15万円、4つ合算・上限つきでは約42万円になります。回数を足すことは、それだけ大きな資金を前提にすることでもありました。
この検証から考えたこと
- 回数を足すと、DDも足されるロジックを足すと、それぞれの負けの時期が重なることがあります。回数と利益だけでなく、組み合わせたときのDDも必ず並べて見るようにしています。
- 「ほかの通貨にも広げれば増える」とは限らない同じロジックでも、通用する銘柄は限られていました。広げる前に、銘柄ごとに費用込みで確かめる必要があります。
- 同時保有の上限は、DDを抑える手段の1つ今回は上限で回数がわずかに減った代わりに、DDが約8,000円縮みました。同じ通貨に偏らないようにする工夫は、組み合わせるほど大事になると考えています。
まとめ
月10回ほどのロジックに3つのロジックを足すと、回数は月40回、損益は約3.4倍になりましたが、PFは下がり、最大DDは約3万円から約8〜9万円に広がりました。目標の月100回には届いていません。
回数を増やすことは、利益だけでなくDDも一緒に増やすことでした。次は、回数ではなく勝ち方そのもの(勝率や決済の方法)を見直す方向で検証を続けていきます。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品やEAの売買・利用を推奨するものではありません。記載の数値は開発中の自作ロジックのバックテスト結果(0.01ロット、スリッページとスプレッドの上乗せは仮定の値)で、実際の約定とは異なります。バックテストと実際の運用では、スプレッドや約定の違いにより結果が変わることがあります。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。