ナビスタ›コラム›EA開発・検証

回数を増やそうとロジックを足したら、何が起きたか

公開 2026年10月17日著者 サーフ(EA開発者)読了 約5分
この記事の要点
  • 月10回ほどしか取引しない開発中の自作ロジックに、回数を稼ぐ3つのロジックを順に足し、直近1年(2025年10月〜2026年9月)のウォークフォワードで比べた
  • 月の取引回数は10.6回→40.2回、損益は約10.3万円→約35.0万円に増えた。一方でPFは1.47→1.35に下がり、最大ドローダウンは約3.0万円→約8.3万円に広がった
  • 目標の月100回には届かず、ほかの通貨に広げても回数はほとんど増えなかった。回数を足すと、利益と一緒にドローダウンも足されることがはっきりした

EAを作っていると、「成績は悪くないのに、取引回数が少なすぎる」という壁にぶつかります。回数が少ないと、検証の結果が偶然なのかどうか判断しにくく、運用しても成果が出るまで時間がかかります。

そこで考えるのが、「別のロジックを足して回数を増やす」という方法です。では、実際に足していくと何が起きるのでしょうか。私が開発中の自作ロジックで試した結果を、うまくいかなかった部分も含めてそのまま書きます。

検証のやり方

出発点は、ゴールド(XAUUSD)とドル円で動く、エリオット波動を1時間足で判定するロジックです。PFは悪くないのですが、取引は月に10回ほどしかありません。目標は「全体で月100回」に置きました。

ここに、次の3つのロジックを順に足しました。

足したロジック中身
① 波の中の押し目追加エリオット波動の波が続いている間に、5分足の押し目・戻りで追加で入る
② 4波の逆張り3波が終わったところで、4波(修正の波)を逆向きに取る
③ トレンドラインのドテン1時間足のトレンドラインを5分足の終値で抜けたら、反対向きに入り直す

条件はすべて、結果を見る前に計画書で決めて固定しました。ロットは0.01で固定、費用は前回の記事の「厳しめ」(スリッページとスプレッドの上乗せで往復1.3pips)を差し引いています。

設定の選び方は、ウォークフォワードと同じ考え方です。過去12か月で設定を選び、次の3か月をその設定のまま運用したとして成績を出します。これを8回くり返し、直近の4回(2025年10月〜2026年9月)をつなげた1年で判定しました。

それぞれ単独の成績

まず、ロジックごとに単独で動かした直近1年の成績です。

ロジックPF月の回数損益最大DD
出発点(エリオット波動)1.4710.6回+102,783円30,310円
① 波の中の押し目追加1.3810.0回+72,137円35,785円
② 4波の逆張り1.434.6回+48,257円29,269円
③ トレンドラインのドテン1.2216.1回+124,357円69,168円

※ゴールドとドル円の合計。最大DDは損益の累計が高値から最も下がった額です。

どれも単独でPF1.2以上はありましたが、回数はいちばん多いトレンドラインのドテンでも月16回ほどでした。1つのロジックで月100回に届くものは、ありませんでした。

順に足していくと、どう変わったか

次に、出発点のロジックに①〜③を順に足していきました。

組み合わせPF月の回数損益最大DD
出発点のみ1.4710.6回+102,783円30,310円
+① 押し目追加1.4320.6回+174,921円48,097円
+②③(4つ合算)1.3241.3回+347,535円91,059円
4つ合算・同時保有に上限1.3540.2回+350,044円83,098円

※最後の行は、③をほかの為替15ペアにも広げたうえで、「同じ銘柄は同時に2つまで、同じ通貨を含むものは4つまで」の上限を付けたものです。

回数は約4倍、損益は約3.4倍になりました。ここだけ見ると成功に見えます。ただ、PFは1.47から1.32〜1.35に下がり、最大DDは約3.0万円から約8〜9万円に広がりました。

10万円から始めたとして計算すると、残高の高値からの下落率は、出発点のみで最大18.9%、4つ合算で37.8%、上限を付けた場合で33.6%でした。

ほかの通貨に広げても、回数は増えなかった

回数をもっと増やすために、トレンドラインのドテンを為替のほかの15ペアにも広げました。ところが直近1年で見ると、24通りの設定のうちPF1.0以上だったのは、14ペアで0通り、残る1ペアでも2通りだけでした。ゴールドでは24通り中22通りがPF1.0以上だったのと対照的です。

過去12か月で選べたペアが、次の3か月で使われることはありましたが、合計の回数は41.3回から40.2回とむしろ少し減りました。上限で見送った取引があったためです。上限を付けたことで、最大DDは約9.1万円から約8.3万円に少し縮みました。

なお、相関の高い通貨ペアのズレを取るロジックも試しましたが、どの回でも選定の条件を満たさず、1度も採用されませんでした。

利益とDDの比は、悪くなっていなかった

見方を変えて、損益を最大DDで割ると、出発点のみで約3.4、押し目追加を足して約3.6、4つ合算で約3.8、上限つきで約4.2でした。DDが増えた分、利益もそれ以上に増えていたことになります。

ただし、実際に運用するときに効いてくるのは「DDの額」です。最大DDを資金の20%に収めるのに必要な資金を計算すると、出発点のみで約15万円、4つ合算・上限つきでは約42万円になります。回数を足すことは、それだけ大きな資金を前提にすることでもありました。

この検証から考えたこと

  1. 回数を足すと、DDも足されるロジックを足すと、それぞれの負けの時期が重なることがあります。回数と利益だけでなく、組み合わせたときのDDも必ず並べて見るようにしています。
  2. 「ほかの通貨にも広げれば増える」とは限らない同じロジックでも、通用する銘柄は限られていました。広げる前に、銘柄ごとに費用込みで確かめる必要があります。
  3. 同時保有の上限は、DDを抑える手段の1つ今回は上限で回数がわずかに減った代わりに、DDが約8,000円縮みました。同じ通貨に偏らないようにする工夫は、組み合わせるほど大事になると考えています。

まとめ

月10回ほどのロジックに3つのロジックを足すと、回数は月40回、損益は約3.4倍になりましたが、PFは下がり、最大DDは約3万円から約8〜9万円に広がりました。目標の月100回には届いていません。

回数を増やすことは、利益だけでなくDDも一緒に増やすことでした。次は、回数ではなく勝ち方そのもの(勝率や決済の方法)を見直す方向で検証を続けていきます。

サーフ|FX判断基準設計

トレード歴13年。感情に流される裁量トレードで負け続けた経験から、再現性のある判断基準づくりとMT5のEA開発・検証に取り組んでいる。ナビスタ運営者。X:@ForexSurf1981(毎週土曜にGSS2026 Alphaの週次実績を公開)/note:note.com/forexsurf

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品やEAの売買・利用を推奨するものではありません。記載の数値は開発中の自作ロジックのバックテスト結果(0.01ロット、スリッページとスプレッドの上乗せは仮定の値)で、実際の約定とは異なります。バックテストと実際の運用では、スプレッドや約定の違いにより結果が変わることがあります。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。