- 単独では最大DD25.8%だったEAを、性格の違うEAと組み合わせると、全体の最大DDは15.7%に収まった
- 2つのEAは、月ごとの損益が逆向きに動きやすかった(相関−0.26)。片方が負ける月を、もう片方が埋めていた
- 組み合わせの効果は「足し算」ではなく「打ち消し合い」から生まれる。似たEAを並べても、DDはならされにくい
「EAは1本より、何本か組み合わせたほうが安定する」とよく言われます。でも、どれくらい安定するのかを数字で確かめた話は、あまり見かけません。
ちょうど自分で開発中のEAで、組み合わせの検証をしたところなので、その結果を紹介します。どれも1年分(2025年10月1日〜2026年10月6日)のバックテストで、ロットは0.02、資金10万円として計算しています。
組み合わせた3つのEA
- A:5分足の順張り(7通貨ペア、日本時間7〜18時だけ取引)。水平線を抜けて戻ったところで入る、短めのEA
- B:1時間足のドンチャン・ブレイクアウト(7通貨ペア、時間帯の制限なし)。過去の高値・安値を抜けたら入り、数日持つこともある長めのEA
- C:Aと同じ考え方を15分足で動かす版(13通貨ペア)
結果:組み合わせ別の成績
| 構成 | PF | 最大DD | 1年の損益 | マイナスの月 |
|---|---|---|---|---|
| A(5分足)だけ | 1.29 | 7.8% | +106,553円 | 2 / 13 |
| B(ドンチャン)だけ | 1.38 | 25.8% | +124,761円 | 5 / 13 |
| A+B | 1.33 | 15.7% | +231,314円 | 1 / 13 |
| A+B+C | 1.31 | 14.2% | +424,315円 | 1 / 13 |
※MT5のストラテジーテスターによるバックテスト。最大DDは、決済した取引の損益を資金10万円に積み上げたときの、ピークからの最大の下落率(含み損は含みません)。月は2025年10月〜2026年10月の13か月(10月は6日まで)。
表から読み取れること
① DDは「足し算」にならなかった
Bは単独だと最大DD25.8%と、かなり荒いEAです。Aに足せばもっと荒くなりそうに思えますが、A+Bの最大DDは15.7%でした。B単独より10ポイント以上小さく、損益は2つの合計とほぼ同じです。
② 理由は、損益の動きが逆向きだったこと
月ごとの損益の動きを比べると、AとBの相関は−0.26でした。マイナスの相関は、片方が負ける月にもう片方が勝ちやすい、という意味です。実際に、Aだけでは2か月、Bだけでは5か月あったマイナスの月が、組み合わせると1か月に減りました。
Aは日中の短い値動き、Bは数日単位のトレンドを狙うEAで、勝てる相場が違います。この「性格の違い」が、打ち消し合いを生んでいました。
③ 似たEA同士だと、ならす効果は小さい
一方、CとBの月ごとの相関は0.58と、同じ向きに動きやすい組み合わせでした。似た相場で勝ち、似た相場で負けるEAを並べても、DDはならされにくく、ロットを増やしたのとあまり変わりません。
組み合わせを考えるときのポイント
- 時間軸や考え方が違うEAを選ぶ短いEAと長いEA、日中のEAと時間帯を問わないEAのように、勝てる相場が違うものを組むと、打ち消し合いが起きやすくなります。
- 月ごとの損益を並べて見る2つのEAの月別成績を並べて、同じ月に負けていないかを確かめます。同じ月に負けているなら、組み合わせの効果は小さいと考えます。
- 合計のロットに気をつける組み合わせると、同時に持つポジションが増えます。1本ずつのロットはそのままでも、口座全体のリスクは増えるので、合計で1回の損失が何%になるかを確かめます。
まとめ
今回の検証では、単独で最大DD25.8%のEAでも、性格の違うEAと組み合わせると、全体の最大DDは15.7%に収まり、マイナスの月も減りました。効果を生んだのは、本数の多さではなく、損益の動きが逆向きだったことです。
EAを組み合わせるときは、成績の良さだけでなく、「どんな相場で勝って、どんな相場で負けるか」が違うものを選ぶ。それが、ドローダウンをならすいちばんの近道だと感じています。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の数値はバックテストの結果で、実際の取引の成果を示すものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。