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エリオット波動のロジックは、ほかの通貨でも通用したか

公開 2026年10月19日著者 サーフ(EA開発者)読了 約5分
この記事の要点
  • 金(XAUUSD)で手応えのあったエリオット波動の自作ロジックを、為替16ペアに広げてバックテストした(厳しめの費用込み)
  • 1時間足では、直近1年でPF1.2以上になった設定が金・銀は72通り中45通りだったのに対し、為替16ペアは384通り中49通り。選ばれて使われた為替ペアも、ほとんど利益が残らなかった
  • 波を大きく取る4時間足では、1ペアあたりの回数が多くても月1.83回。まとめて判定すると直近1年のPFは1.66だったが、四半期ごとには7.56・8.47・0.06・0.84と大きくぶれ、合格条件(4回中3回以上PF1.0以上)に届かなかった

開発中の自作ロジックのひとつに、エリオット波動の「3波」と「5波」を狙うものがあります。金(XAUUSD)では、ウォークフォワードで確かめても成績が残っていました。

エリオット波動はチャートの形の考え方なので、「ほかの通貨でも同じように使えるのでは」と考えるのは自然です。そこで、同じロジックを為替ペアに広げて確かめてみました。結果は、思っていたより厳しいものでした。

検証のやり方

ロジックの中身は金のときと同じです。判定に使う足で、ATR(平均的な値幅)の何倍か以上戻ったところを山・谷として確定させ、その並びから3波・5波の入り口を探します。損切りは直前の谷(売りは山)の少し外、利確は1波の長さをもとに決めています。

項目1時間足4時間足
山・谷を決める戻り幅ATRの1.5/2.5/3.5倍ATRの2.5/3.5/4.5倍
2波の戻し率の範囲2種類2種類
3波の入り方2種類2種類
利確の伸ばし方2種類2種類
設定の数(1銘柄あたり)24通り24通り

※0.01ロット・資金10万円で計算しました。費用は以前の記事の「③厳しめ」(テスターのスプレッドに往復1.3pips分を上乗せ)です。MT5のバックテストの結果です。

評価は、12か月で設定を選び、次の3か月で確かめるウォークフォワードを8回(2024年10月〜2026年9月)行いました。選ぶときは、PF1.15以上、前半・後半の6か月どちらもPF1.0以上、隣の設定の半分以上もPF1.0以上、という条件を満たしたものだけを使います。合格の目安は、直近1年(後半の4回)でPF1.2以上、かつ4回中3回以上でPF1.0以上です。この条件は、結果を見る前に決めておきました。

1時間足:為替では設定が残らなかった

まず1時間足で、為替16ペアと金・銀の計19銘柄を試しました。直近1年を通しで見て、PF1.2以上になった設定の数を数えると、次のようになりました。

銘柄PF1.2以上の設定割合
金・銀(XAUUSD・XAUJPY・XAGUSD)45/72約63%
為替16ペア49/384約13%
(うちUSDJPY)11/24約46%
(AUDNZD・AUDUSD・EURNZD)各0/240%

※これは「あとから1年を通しで見た」数字で、設定選びには使っていません。

ウォークフォワードで実際に選ばれて使われた為替ペアの、直近1年の成績も見てみました。

銘柄使われた回取引PF損益
XAGUSD4/483回1.38+143,100円
XAUUSD4/491回1.48+101,856円
XAUJPY4/487回1.37+75,874円
USDJPY3/436回1.18+927円
GBPUSD2/439回0.84−1,671円
USDCAD1/413回0.69−423円

全体の直近1年はPF1.38でしたが、利益のほとんどは金・銀によるものでした。為替ペアは、選ばれても利益がほぼ残らないか、マイナスでした。為替は金に比べて1回あたりの値幅が小さく、費用の割合が大きくなりやすいことが、理由のひとつだと考えています。

4時間足:波を大きく取ると、今度は回数が足りない

費用の割合を下げるには、1回で取る値幅を大きくすればよいはずです。そこで判定を4時間足に変え、山・谷を決める戻り幅も大きめにして、為替16ペア(参考に金も)で試しました。

ところが、4時間足では1ペアあたりの回数が、どの設定でも多くて月1.83回(AUDNZD)しかありませんでした。最初に決めていた「1銘柄で月4回以上」の条件では、8回すべてで採用される設定がありませんでした。

そこで条件を「月1回以上」に緩め、16ペアをまとめた1つの組み合わせとして判定し直しました。条件を緩めたことと、その前に直近1年の設定ごとの分布を見ていたことは、正直に書いておきます(各回の設定選びは、その前の12か月だけで行っています)。

確認期間使われたペア数月の回数PF損益
2025年10〜12月33.677.56+25,602円
2026年1〜3月54.678.47+52,608円
2026年4〜6月55.330.06−39,123円
2026年7〜9月34.000.84−820円
直近1年—4.421.66+38,267円

※16ペア+XAUUSDをまとめた成績です。使われたペア数には、金(XAUUSD)を含む回があります。

1年を通したPFは1.66と、数字だけ見ればよく見えます。しかし中身は、PF7〜8の四半期が2回と、PF1.0未満の四半期が2回です。2026年4〜6月の1回だけで、前の2回で積み上げた利益(+78,210円)の約半分が消えています。PF1.0以上だったのは4回中2回で、合格の条件には届きませんでした。

16ペアを合わせても月4〜5回しかないので、数回の負けで四半期の成績がひっくり返ります。回数が少ないと、成績が偶然に左右されやすいことが、そのまま出た形です。

「あとから見た分布」はよく見えていた

興味深かったのは、直近1年を通しで見た4時間足の分布です。NZDUSDは24通りすべて、USDCADは24通り中20通り、EURUSDは24通り中19通りがPF1.2以上でした。為替16ペア全体でも、384通り中199通り(約52%)がPF1.2以上です。

それでも、その前の12か月だけを見て設定を選ぶと、上の表のような結果になりました。「あとから1年を通して見ると、多くの設定が勝っていた」ことと、「その時点で選んだ設定が次の3か月で勝てる」ことは別だということを、あらためて感じた検証でした。

この検証から考えたこと

  1. 同じ考え方でも、銘柄が変われば別のロジックとして確かめるチャートの形は同じように見えても、値幅や費用の割合は銘柄によって大きく違います。金で通用したことは、為替で通用する理由にはなりませんでした。
  2. 費用を減らす工夫は、回数とのかね合いになる波を大きく取れば費用の割合は下がりますが、回数が減り、成績が数回の取引に左右されるようになります。片方だけを見ないようにしています。
  3. 条件を緩めたときは、その事実を残しておく今回は回数の条件を途中で緩めました。結果が良く見えても、緩めた分だけ割り引いて見る必要があります。

まとめ

金で手応えのあったエリオット波動の自作ロジックを、為替16ペアに広げて確かめました。1時間足では金・銀以外で設定が残らず、4時間足では回数が月1〜2回と少なく、四半期ごとの成績が大きくぶれて合格条件に届きませんでした。

為替ペアへの展開は見送り、このロジックは金・銀を中心に見ていくことにしました。うまくいかなかった検証も、同じところで迷う方の参考になればと思い、そのまま記録しておきます。

サーフ|FX判断基準設計

トレード歴13年。感情に流される裁量トレードで負け続けた経験から、再現性のある判断基準づくりとMT5のEA開発・検証に取り組んでいる。ナビスタ運営者。X:@ForexSurf1981(毎週土曜にGSS2026 Alphaの週次実績を公開)/note:note.com/forexsurf

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品やEAの売買・利用を推奨するものではありません。記載の数値は開発中の自作ロジックのバックテスト結果です。スリッページとスプレッドの上乗せは仮定の値で、実際の約定とは異なります。バックテストと実際の運用では、スプレッドや約定の違いにより結果が変わることがあります。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。