- 同じロジックの24通りの設定で、いちばん良い設定と、パラメータを1段だけ変えた「隣の設定」の成績を並べた
- ゴールドは1位(PF1.47)の隣5つがすべてPF1.0以上。ドル円は1位(PF1.29)の隣4つのうち2つが負け越しで、24通り全体でもPF1.0以上は3つだけだった
- ただし、隣が良くても次の1年に通用するとは限らない。1年前のドル円では、隣もそろって良かった1位が、次の1年でPF0.79に落ちた
バックテストで24通りの設定を試すと、どうしても「いちばん成績の良い設定」に目が行きます。でも、その1つだけが飛び抜けていて、少し設定を変えると負けてしまうなら、その成績は「たまたま」の可能性が高くなります。
17銘柄で動かした記事では、銘柄ごとに勝ち越した設定の「数」を見ました。今回は、ゴールドとドル円のいちばん良い設定について、その隣がどうなっていたかを見てみます。
検証の条件
- ロジック:1時間足で引いたトレンドラインを抜けたら、決済して反対向きに入る(ドテン)。開発中の検証用EAです(配布はしていません)
- 銘柄:ゴールド(XAUUSD)とドル円(USDJPY)
- 設定:24通り(線を引く山・谷の大きさ「小・中・大」×抜けの判定の余裕「なし・あり」×保険の損切り幅「狭い・広い」×取引する時間帯「2通り」)
- 「隣の設定」:4つのパラメータのうち1つだけを1段変えた設定。山・谷の大きさが「中」なら隣は5つ、「小」「大」なら4つあります
- 期間:2025年10月〜2026年9月の1年(後半で、1年前の2024年10月〜2025年9月も比べます)
- 費用:スプレッドに加えて、滑りを厳しめに見込んで差し引き。0.01ロット固定(MT5のストラテジーテスターによるバックテスト)
結果①:ゴールドの1位と、その隣
ゴールドで、直近1年にいちばんPFが高かったのは、山・谷「中」・余裕「あり」・損切り「狭い」の設定でした(1年で276回の取引)。
| 設定 | 変えたパラメータ | PF |
|---|---|---|
| 1位の設定 | — | 1.47 |
| 隣① | 山・谷を「小」に | 1.06 |
| 隣② | 山・谷を「大」に | 1.00 |
| 隣③ | 抜けの余裕を「なし」に | 1.37 |
| 隣④ | 損切りを「広い」に | 1.45 |
| 隣⑤ | 時間帯を変更 | 1.45 |
※PFは費用を差し引いた後の値。PF1.0未満は負け越しです。隣②は小数第2位で1.00、わずかにPF1.0以上でした。
隣の5つはすべてPF1.0以上でした。山・谷の大きさを変えるとPFは下がりますが、負け越しにはなっていません。24通り全体でも、PF1.0以上は22通りありました。1位の周りが、なだらかな「台地」のようになっている形です。
結果②:ドル円の1位と、その隣
ドル円で直近1年にいちばんPFが高かったのは、山・谷「大」・余裕「あり」・損切り「広い」の設定でした(1年で122回の取引)。
| 設定 | 変えたパラメータ | PF |
|---|---|---|
| 1位の設定 | — | 1.29 |
| 隣① | 山・谷を「中」に | 0.80 |
| 隣② | 抜けの余裕を「なし」に | 0.86 |
| 隣③ | 損切りを「狭い」に | 1.01 |
| 隣④ | 時間帯を変更 | 1.19 |
隣の4つのうち2つは負け越しでした。24通り全体でもPF1.0以上は3通りだけで、残りの21通りは負け越しです。PF1.29という数字だけを見れば悪くありませんが、周りが崩れているので、1つだけ高い「孤島」に近い形です。
ドル円の1位の取引は1年で122回、月にすると約10回です。取引回数の記事で計算したように、この回数ではPFは大きくぶれます。隣が崩れている設定のPF1.29を、そのまま信じるのは危ないと私は考えています。
結果③:隣が良ければ、次の1年も大丈夫だったか
では「隣もそろって良い設定」なら安心かというと、そうとも言い切れませんでした。1年前(2024年10月〜2025年9月)の1位と、その次の1年(直近1年)の成績を並べます。
| 銘柄 | 1年前の1位のPF | 隣のうちPF1.0以上 | 24通り中PF1.0以上 | 次の1年のPF |
|---|---|---|---|---|
| ゴールド | 1.54 | 3 / 4 | 18 / 24 | 1.23 |
| ドル円 | 1.22 | 3 / 4 | 8 / 24 | 0.79 |
どちらも、1年前の時点では隣の4つのうち3つがPF1.0以上でした。それでも、ゴールドは次の1年もPF1.23を保った一方、ドル円はPF0.79の負け越しになりました。
違いがあったのは、24通り全体の広がりです。ゴールドは24通り中18通りが勝ち越していたのに対し、ドル円は8通りでした。ただ、比べたのは2つの例だけなので、「全体の何割が勝っていれば大丈夫」とまでは言えません。
隣を見ることで、何がわかるのか
- 隣が崩れている設定は、たまたま当たった可能性が高いパラメータを1段変えただけで負けるなら、その設定の成績は相場の細かな偶然に合わせ込んだ分を多く含んでいると考えられます。
- 隣が良くても、相場が変われば崩れることはある隣のチェックは「たまたま」を減らすためのもので、次の期間の成績を約束するものではありません。
- 全体の広がりも合わせて見る24通りのうちほとんどが勝っている銘柄と、ごく一部だけが勝っている銘柄では、同じ1位でも意味が違いました。
私が設定を選ぶときに確かめていること
- 隣の設定の半分以上がPF1.0以上か1点だけ飛び抜けた設定は選びません。今回のドル円の1位は、隣4つのうちちょうど2つがPF1.0以上で、この条件をぎりぎり満たす形でした。条件を満たしても、数字の弱さは残ると考えています。
- 試した設定全体のうち、どれくらいが勝っているかほとんどの設定が負けている銘柄では、勝っている少数の設定も疑ってかかります。
- 選ぶのに使っていない期間で確かめる最後は、選んだ後の期間の成績で判断します(ウォークフォワード)。隣のチェックは、その前のふるい分けです。
まとめ
ゴールドの1位(PF1.47)は隣の5つもすべてPF1.0以上でしたが、ドル円の1位(PF1.29)は隣の4つのうち2つが負け越しでした。いちばん良い数字だけを見ると、この違いは見えません。
一方で、1年前のドル円のように、隣がそろって良くても次の1年で負け越すこともありました。隣を見るのは「たまたま」を減らす手段のひとつで、それだけで安心できるものではありません。
EAのバックテストや最適化結果を見るときは、「いちばん良い設定」だけでなく、「少し設定を変えたらどうなるか」も、ぜひ一度確かめてみてください。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品やEAの売買・利用を推奨するものではありません。記載の数値は、開発中の検証用EAを費用を厳しめに見込んでバックテストした結果で、将来の成績を示すものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。