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「直近1年」だけで設定を選ぶと危ない理由と、それでも直近を見るわけ

公開 2026年10月21日著者 サーフ(EA開発者)読了 約6分
この記事の要点
  • 同じロジックの24通りの設定を、ゴールドで6年分、1年ずつ比べた。直近1年でいちばん良かった設定(PF1.47)は、その前の5年のうち3年で負け越していた
  • ある年の1位の設定は、次の年には24通り中4〜15位。6年すべてでPF1.0以上だった設定は1つもなかった
  • 一方で、何年も前に良かった設定がずっと続くわけでもない。私は「直近12か月で選ぶ → 選ぶのに使っていない次の3か月で確かめる」をくり返し、1点だけ良い設定は選ばないようにしている

EAの設定を選ぶとき、「昔の相場は今と違うのだから、直近1年で一番良い設定を使えばいい」と考えたくなります。私も、古いデータより最近のデータのほうが大事だと思っています。

ただ、直近1年だけを見て一番良い設定を選ぶと、どうなるのか。開発中のロジックで、6年分を1年ずつ区切って並べてみました。

検証の条件

結果①:直近1年の1位は、それまでの年はどうだったか

直近1年(2025年10月〜2026年9月)で、24通りの中でいちばんPFが高かった設定の、年ごとの成績です。

年(10月〜翌9月)この設定のPF24通り中の順位
2020年10月〜0.8216位
2021年10月〜0.7718位
2022年10月〜1.102位
2023年10月〜0.9514位
2024年10月〜1.089位
2025年10月〜(直近1年)1.471位

※PFは費用を差し引いた後の値。PF1.0未満は負け越しです。

直近1年ではPF1.47で1位でしたが、その前の5年のうち3年はPF1.0未満でした。直近1年の数字だけを見ていたら、この設定は「安定して強い設定」に見えていたはずです。

結果②:ある年の1位は、次の年も上位に残ったか

今度は、各年の1位の設定が、次の1年でどうなったかを並べました。「1年で選んで、次の1年使う」をくり返したのと同じことです。

選んだ年その年のPF次の年のPF次の年の順位
2020年10月〜1.600.8710位
2021年10月〜1.180.9615位
2022年10月〜1.121.124位
2023年10月〜1.181.435位
2024年10月〜1.541.239位

5回のうち3回は次の年もPF1.0以上でしたが、2回は負け越しでした。次の年の順位は4〜15位で、1位がそのまま1位を続けたことは一度もありません。いちばん良い数字は「その年たまたま相性が良かった分」を多く含んでいる、と考えたほうがよさそうです。

結果③:設定のグループで見ると、年ごとに入れ替わっていた

24通りを、線を引く山・谷の大きさで3つのグループ(各8通り)に分け、PF1.0以上だった設定の数を年ごとに数えました。

年(10月〜翌9月)山・谷 小山・谷 中山・谷 大
2020年10月〜0 / 80 / 88 / 8
2021年10月〜8 / 80 / 80 / 8
2022年10月〜0 / 86 / 86 / 8
2023年10月〜0 / 81 / 88 / 8
2024年10月〜6 / 84 / 88 / 8
2025年10月〜(直近1年)8 / 88 / 86 / 8

直近1年の1位は「山・谷 中」のグループでした。このグループは、直近1年では8通りすべてがPF1.32〜1.47でしたが、2021年10月からの1年は8通りすべてがPF0.70〜0.81でした。

反対に「山・谷 大」のグループは、6年のうち4〜5年でPF1.0以上と、いちばん崩れにくいグループでした。ただ、このグループも直近1年はPF0.93〜1.23で、直近1年だけで比べると1位にはなりません。

なお、6年すべてでPF1.0以上だった設定は、24通りの中に1つもありませんでした。

なぜ、直近1年だけで選ぶと危ないのか

それでも、私が直近を重視するわけ

では「長い期間でずっと良い設定」を探せばいいかというと、今回の検証では6年すべてで勝てた設定はありませんでした。古い相場まで全部に合う設定を探すと、選べる設定がなくなるか、どの年にも少しずつ負ける平凡な設定になりがちです。

また、相場の動き方そのものも変わっています。このロジックの保険の損切りは1時間足の値動きの大きさ(ATR)で決まりますが、その幅を0.01ロットあたりの円に直すと、平均で2020年10月からの1年は約1,300円、直近1年は約6,800円と、約5倍になっていました(ドル円の変化も含みます)。これだけ値動きの大きさが違う何年も前の成績を、直近と同じ重さで扱う理由は弱いと考えています。

そこで私は、次のような選び方にしています。

  1. 直近12か月で選び、選ぶのに使っていない次の3か月で確かめるこれを3か月ずつずらしてくり返します(ウォークフォワード)。直近を重視しつつ、選んだ後の成績で判断できます。
  2. 12か月を前半・後半に分け、どちらもPF1.0以上を条件にする12か月のうち一部の大勝ちだけで良く見えている設定を外します。
  3. 隣の設定も半分以上がPF1.0以上であることを条件にするパラメータを1段だけ変えた設定もそろって良いかを見て、1点だけ飛び抜けた設定は選びません。

このロジックで、ゴールドとドル円についてこの選び方を8回(2024年10月〜2026年9月の各3か月)くり返したところ、選んだ後の3か月のPFは8回すべてで1.0以上(1.04〜1.72)でした。直近1年(後半の4回)をつなげるとPF1.22です。ただし月の取引回数は16回ほどで、私が目標にしている回数に届かないため、このロジック単独では採用していません。

※こちらも費用を厳しめに見込んだバックテストの結果です。この選び方なら必ず通用する、というものではありません。

まとめ

24通りの設定をゴールドで6年分比べると、直近1年でいちばん良かった設定は、その前の5年のうち3年で負け越していました。ある年の1位は、次の年には4〜15位でした。直近1年の1位は「その1年にたまたま合っていた分」を多く含んでいます。

それでも、古い相場まで全部に合う設定を探すのも現実的ではありません。直近で選びつつ、選ぶのに使っていない期間で確かめる、1点だけ良い設定は選ばない。この2つを組み合わせるのが、今のところ私なりの落としどころです。

EAの設定やバックテストを見るときは、「何年分のデータで選んだのか」「選んだ後の期間でも確かめたのか」を、ぜひ一度確かめてみてください。

サーフ|FX判断基準設計

トレード歴13年。感情に流される裁量トレードで負け続けた経験から、再現性のある判断基準づくりとMT5のEA開発・検証に取り組んでいる。ナビスタ運営者。X:@ForexSurf1981(毎週土曜にGSS2026 Alphaの週次実績を公開)/note:note.com/forexsurf

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品やEAの売買・利用を推奨するものではありません。記載の数値は、開発中の検証用EAを費用を厳しめに見込んでバックテストした結果で、将来の成績を示すものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。