ナビスタ›コラム›EA開発・検証

勝率73%なのに安心できない理由──平均利益と平均損失の関係

公開 2026年10月8日著者 サーフ(EA開発者)読了 約5分
この記事の要点
  • 勝率73.0%のEAでも、平均損失(4,505円)が平均利益(1,916円)の約2.4倍あった
  • この比率だと、損益がゼロになる勝率は70.2%。実際の勝率との差は約3ポイントしかない
  • 大きい負け10回の合計は−200,845円で、期間全体の利益(+75,418円)の2倍以上。成績を左右するのは「勝率」より「負けの大きさ」

EAの紹介でよく目にするのが「勝率80%」「勝率90%」といった数字です。勝率が高いと、それだけで安心できそうに見えます。

でも、勝率だけでは、そのEAが本当に利益を残せるかは分かりません。私が自分で動かしているゴールドEA「GSS2026 Alpha」の実際の取引を集計すると、そのことがはっきり見えたので紹介します。

対象はデモ口座でのフォワード運用(2026年8月19日〜10月8日、XAUUSD)で、決済済みの取引418回です。集計方法は実績ページと同じで、手数料・スワップを含めた損益で数えています。

集計した数字

項目数字
取引回数418回(305勝113敗)
勝率73.0%
平均利益(勝った取引)+1,916円
平均損失(負けた取引)−4,505円
PF(総利益÷総損失)1.15
期間の損益+75,418円
最大連敗4回
1回の最大損失−28,846円

※デモ口座(資金10万円で開始)でのフォワード運用の結果。損益が0円の取引は勝ち・負けに数えていません。過去の成績は将来の成果を保証しません。

損益がゼロになる勝率は70.2%

勝率と平均損益から、「この勝率を下回ると損失になる」という境目の勝率を計算できます。

損益ゼロの勝率 = 平均損失 ÷(平均利益+平均損失)
= 4,505 ÷(1,916+4,505)≒ 70.2%

実際の勝率は73.0%なので、差は約3ポイントです。言いかえると、100回の取引で「勝ち」が3回「負け」に変わるだけで、ほぼプラスマイナスゼロになります。

1回の負けを取り戻すには、平均で約2.4回勝つ必要があります。勝率73%は「4回に3回勝つ」ということですが、その1回の負けで、3回分の勝ちの大半が消えてしまう計算です。

成績を左右するのは「大きい負け」

負けた113回のうち、1回で1万円以上の損失は19回ありました。中でも大きい負けの上位10回を足すと−200,845円で、期間全体の利益+75,418円の2倍以上になります。

つまり、このEAの成績は「小さく勝ち続ける」部分よりも、「たまに来る大きな負けをどれだけ抑えられるか」で決まっている、ということです。勝率を1〜2ポイント上げるより、大きい負けを数回減らすほうが、結果への影響はずっと大きくなります。

勝率の高いEAを見るときのポイント

  1. 平均利益と平均損失を並べて見る勝率だけでなく、1回あたりの平均利益と平均損失を確かめます。平均損失が平均利益の何倍あるかで、必要な勝率が決まります。
  2. 損益ゼロの勝率との差を計算する上の式で境目の勝率を出し、実際の勝率との差を見ます。差が小さいほど、相場が少し変わっただけで成績が崩れやすいと考えます。
  3. 1回の最大損失と、口座に対する割合を確かめる大きい負けが口座の何%になるかを見ておきます。ロットの決め方次第で、同じEAでも1回の負けの重さは変わります。

まとめ

勝率73%は、数字だけ見ればかなり高い勝率です。でも、平均損失が平均利益の約2.4倍あるため、損益ゼロになる勝率は70.2%で、余裕は約3ポイントしかありませんでした。

勝率の高さは「負けにくさ」を表しますが、「負けたときの重さ」は表しません。EAを選ぶときは、勝率と一緒に平均損益やPFも並べて見る。それだけで、数字の見え方はかなり変わると感じています。

サーフ|FX判断基準設計

トレード歴13年。感情に流される裁量トレードで負け続けた経験から、再現性のある判断基準づくりとMT5のEA開発・検証に取り組んでいる。ナビスタ運営者。X:@ForexSurf1981(毎週土曜にGSS2026 Alphaの週次実績を公開)/note:note.com/forexsurf

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の数値はデモ口座でのフォワード運用の結果で、実際の取引の成果を保証するものではありません。GSS2026 Alphaは筆者が開発・配布しているEAです。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。