この記事の要点
- 勝率が同じでも、平均利益と平均損失の大きさで結果は正反対になる(勝率70%でも期待値がマイナスのケースがある)
- PF(プロフィットファクター)=総利益 ÷ 総損失。1.0を超えれば利益、ただし取引回数が少ないと当てにならない
- リスクリワード(平均利益÷平均損失)によって、損益分岐の勝率は25%〜67%まで変わる
EAの成績表には「勝率」「PF」「期待値」「最大ドローダウン」といった指標が並びます。それぞれが何を表し、どう組み合わせて読めばよいのかを、数値例で確かめていきます。
主な指標の意味と計算式
| 指標 | 意味 | 計算式 |
|---|---|---|
| 勝率 | 取引のうち利益が出た割合 | 勝ち取引数 ÷ 全取引数 |
| 平均利益/平均損失 | 勝ち・負けそれぞれ1回あたりの平均額 | 総利益 ÷ 勝ち回数/総損失 ÷ 負け回数 |
| リスクリワード | 1回の負けに対して、1回の勝ちがどれだけ大きいか | 平均利益 ÷ 平均損失 |
| PF(プロフィットファクター) | 損失に対して利益が何倍あるか | 総利益 ÷ 総損失 |
| 期待値 | 1回の取引あたりの平均損益 | 勝率 × 平均利益 − 負け率 × 平均損失 |
| 最大ドローダウン(最大DD) | 資産が最大でどれだけ落ち込んだか | ピークからの最大下落幅 ÷ ピーク資産 |
同じ勝率70%でも、結果は正反対になる
次の3つの運用成績を比べてみます(すべて仮の数値です)。
| 勝率 | 平均利益 | 平均損失 | PF | 期待値(1回あたり) | 100回取引後の損益 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 運用A | 70% | 1,000円 | 1,000円 | 2.33 | +400円 | +40,000円 |
| 運用B | 70% | 1,000円 | 3,000円 | 0.78 | −200円 | −20,000円 |
| 運用C | 40% | 3,000円 | 1,000円 | 2.00 | +600円 | +60,000円 |
※仮の数値による計算例です。実在のEAの成績ではありません。
読み取れること① 高い勝率が利益を保証するわけではない
運用Bは勝率70%と高いのに、期待値はマイナスです。勝った時の利益(1,000円)に対して、負けた時の損失(3,000円)が大きすぎるため、「コツコツ勝って、たまの負けで大きく失う」形になっています。逆に運用Cは勝率40%でも、1回の勝ちが大きいため、運用Aを上回る成績です。
読み取れること② 損益分岐の勝率はリスクリワードで決まる
「何%勝てば損をしないか」は、リスクリワード(平均利益÷平均損失)で決まります。損益分岐の勝率は 1 ÷ (1 + リスクリワード) で求められます。
| リスクリワード | 損益分岐の勝率 |
|---|---|
| 0.5(勝ちが負けの半分) | 66.7% |
| 1.0(勝ちと負けが同じ) | 50.0% |
| 1.5 | 40.0% |
| 2.0 | 33.3% |
| 3.0 | 25.0% |
運用Bのリスクリワードは約0.33(1,000÷3,000)なので、損益分岐の勝率は75%です。実際の勝率70%はそれを下回るため、結果はマイナスになります。
成績表を見るときのチェックポイント
- 勝率だけで判断しない必ず平均利益・平均損失(またはリスクリワード、PF)とセットで見ます。勝率が高いEAほど、「負けた時の大きさ」を確認する必要があります。
- PFは取引回数とセットで見るPFが高くても、取引回数が数十回しかなければ偶然の可能性が残ります。回数が少ない場合は参考程度にとどめましょう。
- 最大DDで耐えられるか確認する期待値がプラスでも、途中の落ち込みが深ければ運用を続けられません。回復に必要な利益率も踏まえて判断します。
- バックテストとフォワードを区別するどの期間・どの条件の数字なのか、バックテストなのか実運用なのかが書かれているかを確認します。過剰最適化の検証記事もあわせてどうぞ。
まとめ
成績表の数字は、1つだけ見ても全体像はつかめません。勝率・平均利益と平均損失・PF・最大DDを組み合わせて読み、取引回数と検証条件まで確認することが、数字に振り回されないための基本です。
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