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赤字の部品を外したら、ドローダウンは減ったのか──「外して計算」とテストのやり直しの差

公開 2026年10月28日著者 サーフ(EA開発者)読了 約5分
この記事の要点
  • 開発中のEAの中に、3つの期間すべてで赤字の部品があった(PF 0.52/0.32/0.88)。取引の一覧からその部品の取引を消して計算すると、2024年の最大ドローダウンは65.0%→44.8%
  • ところが、部品を止めてバックテストをやり直すと55.3%。直近1年は22.6%→24.1%と、逆に悪化した
  • 差の原因は、ほかの部品とのつながり。損失が減ったぶん「減ったら止める」安全装置が働きにくくなり、別の部品の取引が増えた。部品を外す改善は、計算ではなくテストのやり直しで確かめる必要がある

EAの成績を部品ごとに分けてみると、「この部分だけずっと負けている」というところが見つかることがあります。そこを外せば成績が良くなるはずだ、と考えるのは自然です。

私が開発しているEAでも、そういう部品が見つかりました。そこで、取引の一覧からその部品を消して計算した数字と、部品を止めてバックテストを最初からやり直した数字を、3つの期間で並べてみました。結果は、思っていたのとかなり違いました。

調べたEAと、赤字だった部品

このEAは、ロジックの違う5つの部品をまとめて1つにしたものです(為替の短い足の売買、1時間足のブレイクアウト、ゴールドの波を使う売買など)。資金10万円、ロットはすべて0.01、手数料・スワップ込みのバックテストで、次の3つの期間を見ました。

部品ごとに損益を分けると、1時間足のブレイクアウトの部品だけが、3期間ともマイナスでした。

ブレイクアウトの部品取引回数損益PF
2023年94回−15,862円0.52
2024年137回−28,185円0.32
直近1年775回−18,586円0.88

どの期間でもPFが1を下回っています。外す理由としては十分に見えました。

「外して計算」と「テストのやり直し」を並べると

まず、取引の一覧からこの部品の取引だけを消し、残りの取引で残高の動きを作り直しました(外して計算)。次に、EAの設定でこの部品を止め、同じ条件でバックテストを最初から回し直しました(テストのやり直し)。

最大ドローダウン今のまま外して計算テストのやり直し
2023年66.8%52.6%60.7%
2024年65.0%44.8%55.3%
直近1年22.6%22.6%24.1%
取引回数今のまま外して計算テストのやり直し
2023年1,489回1,395回1,644回
2024年1,647回1,510回2,453回
直近1年5,779回5,004回4,995回

※自作EAのバックテスト(資金10万円・0.01ロット・手数料とスワップ込み)の結果です。過去の成績は将来の成果を保証しません。

外して計算すると、2024年の最大ドローダウンは20ポイント以上下がりました。ところがテストをやり直すと、下がったのは約10ポイントです。直近1年は、計算では変わらないはずが、やり直すと少し悪化しました(金額で見ると63,765円→83,917円)。

取引回数も逆の動きをしています。部品を1つ止めたのに、2023年と2024年は回数が増えました。

なぜ差が出たのか──部品どうしのつながり

原因は、このEAに入れていた安全装置です。為替の部品には、「残高が最高値から20%減ったら、新しい取引を止める」という仕組みを付けていました。

「外して計算」は、ほかの部品の取引がまったく変わらないという前提に立っています。実際には、ある部品の損益が変わると、残高を見て動く仕組みや、同時に持てるポジションの数を通じて、ほかの部品の取引も変わります。今回の差は、その前提が崩れたぶんでした。

判定の結果と、これからのこと

このテストの前に、「3つの期間すべてで最大ドローダウンが今より小さく、PFが下がらず、月100回以上の取引があること」を採用の条件として決めていました。結果を見てから条件を変えないためです。

部品を止めた版は、回数とPFの条件は満たしましたが、直近1年の最大ドローダウンが悪化したため、条件どおりなら不合格です。ただ、2023年と2024年ではっきり改善したので、数字を調整し直すことはせず、この形のまま実際の相場で動かすフォワードテストで確かめることにしました。結果は、良くても悪くも、このサイトで報告します。

部品を外す前に確かめたいこと

  1. 「外して計算」は、効果を大きく見せやすい今回は2期間とも、計算のほうがやり直しより10ポイントほど良い数字でした。計算の数字は「最大でもこのくらい」という目安と考えるのが安全です。
  2. 残高を見て動く仕組みがあるEAは、特に注意する減ったら止める・ロットを変えるなど、残高で動きが変わる仕組みがあると、1つの部品の変化がほかの部品に広がります。
  3. 1つの期間だけで決めない今回、直近1年だけを見ていたら「効果なし」、2024年だけなら「大きく改善」と、正反対の結論になっていました。直近1年だけで設定を選ぶ危うさは、部品を外すときにもそのまま当てはまります。

まとめ

3つの期間すべてで赤字だった部品を外すと、取引の一覧から消して計算した場合は、最大ドローダウンが大きく下がって見えました。けれども、バックテストをやり直すと改善は半分ほどで、直近1年は逆に悪化しました。

部品は、単独で動いているわけではありません。「赤字だから外す」と決める前に、外した状態でテストを最初からやり直す。地味ですが、今回いちばん大事だと感じたのはその手間でした。

サーフ|FX判断基準設計

トレード歴13年。感情に流される裁量トレードで負け続けた経験から、再現性のある判断基準づくりとMT5のEA開発・検証に取り組んでいる。ナビスタ運営者。X:@ForexSurf1981(毎週土曜にGSS2026 Alphaの週次実績を公開)/note:note.com/forexsurf

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は筆者が開発中のEAのバックテスト結果で、実際の取引の成果を保証するものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。