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トレールを早めに始めたら、勝率は上がったのに資金が尽きた──利益を守る位置の決め方

公開 2026年11月5日著者 サーフ(EA開発者)読了 約4分
この記事の要点
  • 開発中のEAで、損切りを利益の側へ動かし始める位置(トレール開始)を、利確までの30%・40%・50%・70%で比べた。早く始めるほど勝率は上がった(70%:36.2% → 30%:41.6%)
  • ところが平均の勝ちは1,437円 → 951円と小さくなり、30%と40%は2年の検証の途中(2025年4月)で資金10万円を使い切った
  • 50%は70%とほぼ同じ成績で、保有時間は少し短くなった。直近1年で1回だけ確かめると、PF 1.280 → 1.283、平均の保有時間 19.1時間 → 15.0時間。「勝率が上がる=良い設定」とは限らない

含み益が出ていたポジションが、そのまま戻ってきて損切りで終わる。EAを動かしていると、こういう場面にはよく出会います。私も、自分で作っているEAを動かしていて、「もっと早く損切りを利益の側へ動かしておけば」と何度も思いました。

そこで、損切りを動かし始める位置(トレールを始める位置)を早めると成績がどう変わるのかを、バックテストで比べてみました。結果は、思っていたのとだいぶ違いました。

調べたEAと、変えた設定

このEAは、ゴールドと為替で動くいくつかのロジックをまとめたものです。どの取引にも損切りと利確をつけていて、これまでは「利確までの70%まで進んだら、損切りを利益の側へ動かし始める」作りでした。

今回は、この始める位置を早めました。追いかける距離(今の値段からどれだけ離して損切りを置くか)は変えず、始める位置だけを変えています。

早く始めるほど勝率は上がり、勝ちは小さくなった

始める位置勝率平均の勝ち平均の負けPF2年の結果
30%41.6%951円750円0.912025年4月に資金が尽きる
40%39.2%902円635円0.922025年4月に資金が尽きる
50%38.3%1,306円809円1.003+5,558円
70%(今まで)36.2%1,437円810円1.006+10,568円

※自作EAのバックテスト(2023/10/30〜2025/10/30、資金10万円・0.01ロット・手数料とスワップ込み)の結果です。30%と40%は資金が尽きた時点までの集計です。過去の成績は将来の成果を保証しません。

始める位置を早めると、勝率はたしかに上がりました。含み益が少し出た段階で損切りが利益の側へ動くので、「プラスで終わる取引」が増えるからです。

その代わり、伸びるはずだった取引も早めに決済されるようになり、平均の勝ちが小さくなりました。30%では、勝ち1回の平均が70%のときの3分の2ほどです。負けの大きさはあまり変わらないので、全体ではマイナスに傾き、この2年のうち厳しかった2025年4月に資金を使い切りました。

なお、追いかける距離も始める位置と同じ割合まで縮める形も試しましたが、勝率が30%で48.2%まで上がっただけで、30%と40%はやはり途中で資金が尽きました。

正直に言うと、選ぶ期間では差がなかった

50%と70%は、この2年ではほぼ同じでした。PFは1.003と1.006で、損益はむしろ70%のほうが上です。数字だけなら、変える理由はありません。

それでも50%を選んだのは、平均の保有時間が16.0時間 → 13.7時間と短くなり、「含み益のまま長く残る」ことが減ったからです。成績が同じくらいなら、持っている時間が短いほうが動かしやすい、という判断です。

直近1年で1回だけ確かめた結果

選んだあと、選ぶときに使っていない直近1年(2025年10月30日〜2026年10月30日)で1回だけ確かめました。結果を見て選び直すことはしない、と先に決めています。

直近1年勝率平均の保有時間PF損益月の取引回数
70%(今まで)35.6%19.1時間1.280+563,395円295回
50%38.7%15.0時間1.283+569,892円322回

PFと損益はほぼ同じで、勝率は3ポイントほど上がり、平均の保有時間は約4時間短くなりました。決済が早くなったぶん、月の取引回数も少し増えています。大きく良くなったわけではありませんが、悪くもならなかった、というのが正直なところです。

トレールの位置を決めるときに見ておきたいこと

  1. 勝率だけで判断しないトレールを早めると勝率は上がりやすくなります。ただ、平均の勝ちが小さくなっていないかを一緒に見ないと、今回の30%のように全体ではマイナスになることがあります。
  2. 平均の勝ちと平均の負けを並べる勝率が上がった分で、勝ちが小さくなった分を取り戻せているか。勝率と平均損失の関係で書いたのと同じ考え方です。
  3. 厳しい期間を含めて比べる今回、30%と40%の差がはっきり出たのは2025年4月の厳しい時期でした。良い時期だけで比べると、違いが見えないことがあります。

まとめ

含み益を守るためにトレールを早めると、たしかに勝率は上がります。ただ、それは伸びる取引を早めに手放すことでもあります。今回の検証では、早めすぎた30%と40%は途中で資金が尽き、50%で今までとほぼ同じ成績になりました。

EAの設定を比べるときは、勝率と一緒に「平均の勝ち・平均の負け」と、厳しい期間での結果も見ておくと安心です。損切りと利確の幅を変えたときの保有時間の記事とあわせて、参考にしてみてください。

サーフ|FX判断基準設計

トレード歴13年。感情に流される裁量トレードで負け続けた経験から、再現性のある判断基準づくりとMT5のEA開発・検証に取り組んでいる。ナビスタ運営者。X:@ForexSurf1981(毎週土曜にGSS2026 Alphaの週次実績を公開)/note:note.com/forexsurf

※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は筆者が開発中のEAのバックテスト結果で、実際の取引の成果を保証するものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。