- 開発中のEAで、損切りと利確の幅を0.75倍・1倍・1.25倍・1.5倍の4通りに変えて、2年間のバックテストを比べた。幅を広げるほど、決済までの平均時間は4.9時間→8.8時間→12.9時間→16.0時間と長くなった
- 成績(PF)が一番良かったのは1.5倍(PF 1.01)。ただし、決済まで1日以上かかる取引が16%(1倍は6%)に増えた
- 直近1年での確認でも、1.5倍は1倍よりPF・損益とも少し上だったが、平均の保有時間は8.8時間→19.1時間。成績だけでなく「どのくらい持ち続けられるか」も、設定を選ぶ材料になる
EAを動かしていて、「含み益があるのに、なかなか決済されない」と感じたことはないでしょうか。私も、自分で作っているEAを実際の口座で動かしていて、同じことを思いました。
理由ははっきりしていました。少し前に、損切りと利確の幅を広げる変更をしていたのです。そこで、幅を変えると決済までの時間がどれだけ変わるのかを、バックテストの取引から数えてみました。
調べたEAと、変えた設定
このEAは、為替とゴールドで動くいくつかのロジックをまとめたものです。どの取引にも損切りと利確を必ずつけ、利確までの7割まで進んだら損切りを利益の側へ動かしていく(トレール)作りにしています。利確の幅は損切りの幅の1.5倍です。
今回変えたのは、損切りの幅にかける倍率です。利確は損切りの幅から決まるので、損切りを広げると利確も同じ割合で広がります。
- 倍率:0.75倍・1倍・1.25倍・1.5倍の4通り
- 期間:2023年10月30日〜2025年10月30日の2年間(設定を選ぶための期間)
- 条件:資金10万円、0.01ロット、手数料とスワップ込み
保有時間は、1回ごとに「入った時刻から決済した時刻まで」を数えました。
幅を広げるほど、決済は遅くなった
| 損切り・利確の幅 | 平均の保有時間 | 真ん中の値 | 1日以上の割合 | PF |
|---|---|---|---|---|
| 0.75倍 | 4.9時間 | 2.8時間 | 2% | 0.92 |
| 1倍 | 8.8時間 | 5.2時間 | 6% | 0.95 |
| 1.25倍 | 12.9時間 | 6.6時間 | 11% | 0.92 |
| 1.5倍 | 16.0時間 | 8.5時間 | 16% | 1.01 |
※自作EAのバックテスト(2023/10/30〜2025/10/30、資金10万円・0.01ロット・手数料とスワップ込み)の結果です。過去の成績は将来の成果を保証しません。
幅を0.75倍から1.5倍まで2倍にすると、平均の保有時間は3倍以上になりました。平均と真ん中の値の差が大きいのは、一部の取引がとても長く持たれているためです。1.5倍では、6回に1回ほどが決済まで丸1日以上かかっていました。
一方で、この2年間は厳しい期間でした。PFが1を超えたのは1.5倍だけで(損益+10,568円)、ほかの3通りは資金を大きく減らしています。この期間で選ぶなら、1.5倍です。
直近1年で1回だけ確かめた結果
設定を選んだあと、選ぶときに使っていない直近1年(2025年10月30日〜2026年10月30日)で、1回だけ確かめました。結果を見て選び直すことはしない、と先に決めています。
| 直近1年 | 平均の保有時間 | 1日以上の割合 | PF | 損益 | 月の取引回数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1倍 | 8.8時間 | 7% | 1.25 | +522,834円 | 415回 |
| 1.5倍 | 19.1時間 | 20% | 1.28 | +563,395円 | 295回 |
1.5倍のほうが、PFと損益は少し上でした。その代わり、平均の保有時間は2倍以上になり、5回に1回は決済まで1日以上かかっています。1回が長くなったぶん、月の取引回数も約3割減りました。
保有時間が長いと、何が変わるか
- 含み益や含み損を見ている時間が長くなる成績表の数字が同じでも、1日以上ポジションを持ち続けるのは、気持ちの面で思ったより負担になります。途中で手動で決済したくなる場面も増えます。
- スワップや週末の値動きの影響を受けやすくなる日をまたぐとスワップがかかります。週末を持ち越すと、月曜の窓開けの影響も受けます。
- 同時に持つポジションが増えやすい1回が長いと、次の取引が始まる前に前の取引がまだ残っていることが増えます。そのぶん、証拠金にも余裕が必要です。
まとめ
損切りと利確の幅を広げると、成績が良くなることはあります。ただ、決済までの時間も一緒に長くなります。今回は幅を1.5倍にして成績は少し上がりましたが、平均の保有時間は2倍以上になりました。
EAの設定を比べるとき、PFや最大ドローダウンと並べて「1回の取引を何時間持つのか」も見ておくと、実際に動かしたときの「思っていたのと違う」を減らせると思います。成績表の読み方とあわせて、参考にしてみてください。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は筆者が開発中のEAのバックテスト結果で、実際の取引の成果を保証するものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。