- 開発中のEAで、利確の幅を損切りと同じ幅(1:1)にして2年分を検証した。利確に届く取引は5.3% → 32.5%、勝率は38.3% → 45.1%に上がった
- ところが平均の勝ちは1,306円 → 731円に小さくなり、PFは1.003 → 0.894。2025年4月25日に資金10万円を使い切った
- 1:1で損をしないために必要な勝率(損益分岐の勝率)は47.9%。勝率45.1%では2.8ポイント足りなかった。勝率は「上がったか」ではなく「損益分岐を超えたか」で見る
自分で作っているEAを動かしていて、「利確がほとんど決まらない」と感じていました。調べてみると、利確まで届いて終わる取引は全体の5%ほどしかありません。利確が遠すぎるのでは、と考えるのは自然な流れでした。
そこで、利確の幅を損切りと同じ幅(1:1)まで近づけたらどうなるかを、バックテストで確かめてみました。利確は思ったとおり増えました。それでも結果は、資金が尽きて終わりました。
調べたEAと、変えた設定
このEAは、ゴールドと為替で動くいくつかのロジックをまとめたものです。どの取引にも損切りと利確をつけていて、今までは利確を損切りより遠く(ロジックによって損切りの1.5倍以上)に置いていました。途中からは、損切りを利益の側へ動かすトレールも働きます。
今回は、新しく持ったポジションの利確を、入ったときの損切りの幅と同じ距離につけ直すようにしました。損切りの幅やトレールの設定は変えていません。
- 比べたもの:今まで(利確は損切りより遠い)と、1:1の2通り
- 期間:2023年10月30日〜2025年10月30日の2年間(設定を選ぶための期間)
- 条件:資金10万円、0.01ロット、手数料とスワップ込み
- 決めておいた選び方:資金が尽きず、PFが今まで(1.003)以上なら、直近1年で1回だけ確かめる。満たさなければ使わない
利確は約6倍に増え、勝率も上がった
| 設定 | 利確に届いた割合 | 勝率 | 平均の勝ち | 平均の負け | PF | 2年の結果 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 今まで | 5.3% | 38.3% | 1,306円 | 809円 | 1.003 | +5,558円 |
| 1:1 | 32.5%(839回) | 45.1% | 731円 | 672円 | 0.894 | 2025年4月25日に資金が尽きる(−100,435円) |
※自作EAのバックテスト(2023/10/30〜2025/10/30、資金10万円・0.01ロット・手数料とスワップ込み)の結果です。1:1は資金が尽きた時点までの集計です。過去の成績は将来の成果を保証しません。
利確に届いて終わる取引は、5.3%から32.5%へと約6倍になりました。勝率も38.3%から45.1%へ、7ポイント近く上がっています。「利確が決まらない」という悩みだけを見れば、狙いどおりの結果です。
その代わり、勝ち1回の平均は1,306円から731円へと、ほぼ半分になりました。今までは、利確まで届かなくても、トレールで大きく伸びた取引がときどきあり、それが平均の勝ちを押し上げていました。利確を近くに置くと、そうした伸びる取引も早めに終わってしまいます。
損益分岐の勝率で見ると、足りていなかった
勝率がどこまであれば損をしないかは、平均の勝ちと平均の負けから計算できます。
損益分岐の勝率 = 平均の負け ÷(平均の勝ち + 平均の負け)
| 設定 | 損益分岐の勝率 | 実際の勝率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 今まで | 809 ÷ 2,115 = 38.3% | 38.3% | ほぼ0 |
| 1:1 | 672 ÷ 1,403 = 47.9% | 45.1% | −2.8ポイント |
今までの設定は、勝率38.3%に対して損益分岐も38.3%で、ちょうどトントンでした(PF 1.003)。1:1にすると勝率は上がりましたが、損益分岐の勝率はそれ以上に上がって47.9%になりました。実際の勝率45.1%との差は2.8ポイント。この差が2年間積み重なり、厳しかった2025年4月に資金を使い切りました。
1:1なら「勝率50%でトントン」と思いがちですが、手数料やスプレッドがかかるうえ、トレールで早めに終わる勝ちもあるため、実際の損益分岐は勝率50%近くまで上がります。勝率と平均損失の関係で書いたのと同じ話です。
正直に言うと、試す前から少し予想はついていた
実は以前、一部のロジックだけで利確を損切りと同じ幅にしたことがあり、そのときもPF 0.926で途中で資金が尽きていました。それでも、全部のロジックをそろえれば違うかもしれないと思って試しましたが、結果は同じ方向でした。
決めておいた選び方を満たさなかったので、直近1年での確認はしていません。良くない結果を見てから条件を変えて試し直すと、たまたま合う設定を拾ってしまうからです。
利確の幅を決めるときに見ておきたいこと
- 勝率と一緒に、損益分岐の勝率を計算する平均の負け ÷(平均の勝ち+平均の負け)で出せます。勝率が上がっても、損益分岐の勝率がそれ以上に上がっていれば、全体ではマイナスです。
- 「利確に届いた割合」だけで判断しない利確が少ないEAでも、トレールなど別の決済で利益を取っていることがあります。決済の内訳ごとに損益を見ておくと、どこで稼いでいるかがわかります。
- 厳しい期間を含めて比べる今回も、差がはっきり出たのは2025年4月でした。良い時期だけでは、2.8ポイントの差は見えにくくなります。
まとめ
利確を近くに置けば、利確に届く取引も勝率も増えます。今回も、利確は約6倍、勝率は45.1%まで上がりました。ただ、それと引きかえに勝ち1回が小さくなり、損益分岐の勝率47.9%には届きませんでした。
利確の幅を変えるときは、「勝率が上がったか」ではなく「損益分岐の勝率を超えたか」で見ると判断しやすくなります。トレールの位置を変えたときの結果はトレールを早めに始めたら、勝率は上がったのに資金が尽きたにまとめています。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。数値は筆者が開発中のEAのバックテスト結果で、実際の取引の成果を保証するものではありません。FX・CFD取引には元本を失うリスクがあります。過去の成績は将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。